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Blog:西村一郎活動日誌

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外食産業や流通産業の動向
                        
(財)生協総合研究所 研究員 西村 一郎


・ 流通業の変化
 97年度の商業統計によれば、94年からの小売業の販売額は全体で3.1%伸びていますが、その内訳をみるとスーパーやコンビニなどのチェーン小売業は17.4%伸びているのに対し、街に以前からあるような個人オーナーの一般小売店である専門店では、逆に2.5%のマイナスになっています。この傾向は店の数でみるとさらに明瞭で、チェーン小売業は36.5%広げているのに対し、専門店では9.7%のマイナスとなり、全体でも5.4%の減少となっています。
 それだけチェーン小売業と専門店の二極分化がすすんで一般の店が衰退し、全国の商店街の85%に空き店舗があり、1商店街あたりのその数は平均で5店にもなっているほどで、その傾向はその後も続いているようです。
 低迷する専門店において、その扱っている品目別の94年と97年の動向をみますと、衣料品店のマイナス10.5%、住関連品店のプラス3.6%に対し、食料品店はマイナス16.5%にもなっています。つまり専門店からチェーン小売業店に消費者の利用の全体が移っているなかでも、特に食料品においてその傾向が強いわけです。
 さらにチェーン小売業店の内訳をみると、表1のように業態によってその推移は大きくかわります。
 つまり売り上げの規模でみると食料品スーパー、百貨店、総合スーパー、コンビニ、生協の順となっていますが、他方の伸長率でみるとコンビニ、食料品スーパー、総合スーパー、生協、百貨店となっています。特にコンビニと食料品スーパーの伸長率が他に比べて高くなっており、それだけ消費者のニーズにマッチした品揃えやサービスをしていることになります。
 一番勢いのあるコンビニは、30から250平方㍍までの広さで、かつ営業時間が14時間以上の店です。ここにおける食品のシェアは表2のように以前よりも低下しているとはいっても4割をこえ、特に近年は日配品とか飲料類などが増加しています。あわせてファーストフード類も大きく伸ばし、この2つの部門で過半数をしめています。
 こうしたコンビニでは、たとえば単身者の家庭における冷蔵庫がわりに利用してもらうことをより強めたり、全国各地にはりめぐらした圧倒的な店の数を活用し、店内に設置した情報用の端末を活用して最新のゲームソフトや旅行などの予約・販売までてがけはじめています。

・流通業のねらう食卓とその戦略
 わが国の流通業界において、これまでの食品の素材提供から大きな変化がすすもうとしています。
 98年の日本セルフ・サービス協会が主催した「スーパーマーケット・トレードショー」では、「ミール・ソリューション」(MS)のテーマに参加者の大きな関心が集まりました。他の流通業の会合でも、この言葉やもしくは「ホーム・ミール・リプレーストメント」(HMR)などが使用されています。
 まずHMRとは、家庭で作られている食事を自社の商品に取り込んで置き換え、将来に向けて成長の基盤をつくっていくことで、他方のMSとは、時間におわれてメニューの選定にとまどう消費者に対して、これまでのように食材を提供するだけでなく、食事に関して総合的な解決を提供することで売り上げの拡大をねらうものです。これらの概念をあらわしたものが図1で、これまでの流通業が生産・流通・販売と一貫した流れの管理に力を注いできたことに対し、もっと食事する食卓に接近して新たな役割発揮をしようとするものです。
 こうした考えは、97年にアメリカで顕著になりました。すでにアメリカでは、主婦が夕食にかける平均の調理時間が15分となり、あわせて外食産業が料理のテイクアウトや宅配を強化し、外食産業と流通業による「シェア・オブ・ストマック(胃袋の取り合い)の争い」と考えているからです。
 我が国も似たような状況にあり、主婦の夕食の調理にかける平均時間はアメリカほどでないにしても45.8分まで減少していますし、食卓により近づく中食分野へ外食産業が確実に手を伸ばしています。
 こうした考えに基づくスーパーが、すでに国内にもいくつか誕生して評判を呼んでいます。中京地方のある店では、「主婦に代わって家庭の味を食卓に出す」ことを基本理念とし、コロッケ1個38円、天ぷらバイキング1個70円といった値段の安さを強調し、実演コーナーでは温かいどんぶり物やお好み焼きを提供し、催事コーナーでは季節の行事食を取り入れています。
 また関西地方のある店では、入り口近くにカット野菜やカットフルーツの棚を設置し、随所に生鮮と加工品の組み合わせによりオーブントースターなどによって素早く調理ができる「簡単クッキング」を並べてあります。さらにはイタリアンコーナーではイタリアンメニューの食生活の提案があり、他の場所では電子レンジに対応した商品だけの棚を設置したり温かい惣菜のコーナーもあります。
 こうした傾向は、今後各地の小売業で広がっていくことでしょう。

外食産業の動向        
・ 全体の規模は
 97年の我が国における外食産業の規模は、(社)日本フードサービス協会(JF)の推計によれば29兆6778億円で、前年比2.5%増となっています。これはあくまでも外食産業と呼ばれている業種の合計で、外食と内食の中間にあって総菜など小売業の料理品でいわゆる中食を加えると、33兆2270億円となり、これは対前年で3.2%の増加をしています。つまり中食だけでみると実に9.5%の伸長であり、狭義の外食産業の伸びを大幅にこえ、それだけ中食の役割が今の世の中で求められているとも言えます。
 ところでこの30兆円近い外食産業の売り上げ規模は、22年まえの75年に比べると3.4倍にもなっており、それだけ国民生活に深く根ざしていると言えます。ちなみに、他の産業の国内売上高と比較すると、百貨店が20.6兆円、自動車・自転車が19.6兆円、衣料・身の回り品13.4兆円、家具・家庭用機器12.6兆円ですから、いかに外食産業が身近になっているのかわかります。
 この傾向は、家計にしめる外食のウエイトをみてもよくわかります。食の外部化をみるための指標があります。中食を加えた広義の外食産業の売上高を年間の食品や食料の支出金額で割った食の外部化率と、狭義の外食産業の売上高を同じく食品や食料の支出金で割った外食率がそれで、それらの率は75年から96年にかけて以下のように変化しています。
           75年    90年     96年
食の外部化率  28.5%  40.8%   44.4%
外食比      27.9%  37.4%   39.8%    
 つまりバブル経済のころまで食の外部化率や外食率は急激に増加し、バブルがはじけた以降もなお減ることなく微増が続いています。また食の外部化率と外食比を比較すると、毎年のようにその差は広がっており、それだけ外食でもなく内食でもない中食のウエイトが高まっていることを示しています。
 ところでアメリカにおける食の外部化率が50%であることから、日本の外食産業は近い将来に飽和状態になるのではないかとの指摘もあり、事実近年の伸び率は鈍化してきました。
 しかし、余暇における外食の割合をみても、依然としていかに大きな存在であるのかよくわかります。98年の我が国のレジャー白書によれば、余暇の市場82兆6490億円のなかで外食は24.5%をしめ、前年よりも1.6ポイント増加しています。さらに国民のなかで各種の余暇に参加する人は、外食で67.4%と一番多く、それ以降は国内観光旅行の56.9%、ドライブの56.9%、カラオケの52.7%、ビデオ鑑賞41.0%となっています。
 この外食参加率は、男性よりも女性が1.5ポイント多く、かつ20歳代の女性が79.0%と年代のなかでは一番高いこともあり、これからさらに女性の社会進出とあいまって外食のウエイトが高まっていくことは間違いがないでしょう。

・ 最近の傾向は
 第1に多様化するお客の要望に応えるため、店のサービスやメニューなどを複合化させるボーダレス化がすすんでいます。ファミリーレストランでテイクアウト商品を強めたり、ファーストフード店における宅配を拡大したりしていることです。このため以前のように、どのようなメニューをどのような方法で提供しているのか1つの言葉で表現することが難しくなっています。
 第2に、食品の宅配や持ち帰り商品が増加し、あわせて惣菜なども健闘して中食が増えていることです。女性が家庭内に閉じこもるのでなく、社会に出て仕事にカルチャーにボランティアなどに生き甲斐を求めていくなかでは、これからも中食はさらに増加していくことでしょう。
 第3には、有機野菜や産直などによって、食材の安心・安全に対するこだわりを強めていることです。料理の美味しさはもちろんですが、食べる人の健康にもこれまで以上に注意をはらい、肥料や農薬などについても管理した食材を使用する店が増えています。あわせて、鮮度の良さを強調するため産直の食材の割合を広げつつあります。
 こうした健康や安全へのこだわりは、メニュー開発においてカロリーや塩分や糖分などをひかえめにし、それらの表示をメニューブックやサンプルケースなどでお客にきちんと表示しています。
 第4には、環境問題への配慮を強めつつあることです。全国には今や83万6400もの外食産業の店があり、そこから日々排出されるゴミは膨大な量になります。このため店から出る生ゴミを堆肥化して有機肥料とし、それを産直の相手の農地に入れてより安全な野菜の生産につなげる工夫をはじめている店もあります。つまり農産物が生産・消費・廃棄の一方向だけで終わるのでなく、円を描くリサイクルとして循環し、それだけ自然環境にも優しい取り組みとなっています。

・ これからの動きは
 まず第1に、女性の社会進出がさらにすすみ、それにともなって外食の需要は中食を含めてさらに増加していくでしょう。このため、女性を意識したメニューやサービスや店造りなどがもっと増えていきます。第2には、高齢化社会が一段とすすみ、自立したシルバー世代が多くなっていくため、この層を対象とした外食産業も拡大していくことでしょう。
 第3には、世の中の労働時間短縮によって働く人達も余暇時間がますます増え、外食をする機会がさらに多くなっていきます。このため中食を含めた広義の外食の拡大する可能性は、まだ残されていると言ってよいでしょう。

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