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(財)生協総合研究所 研究員 西村 一郎
・ はじめに
各地の食を大切にするいくつもの生協において、食育がいろいろな場面で話題になっている。全国で2000万を超える組合員の家族の食に責任を持とうとする生協にとっては、極めて大切な課題である。多種多様な食育に関わる取り組みが展開されるのは、組合員を主人公とする生協にとって当然のことと言える。
ところで食育が何を意味するのかについて、それぞれの生協のとらえ方は必ずしも一致していない。栄養素のバランスを重視している生協もあれば、食生活や食文化まで広げ、さらには生産や廃棄などまで視野に入れているケースもある。行政や関連団体などにおいても、食育の共通した定義ができていない現状では、仕方のないことだろう。
それでも食育の共通しているイメージは、一人ひとりの食生活における自立を促すことにある。個人が健康な心身を発達させ、または維持するために、自分に適した食事に必要な知識や技術を習得することを目的にしている。
さらには、今日のように食の社会化や国際化が急激に進むと、生産・加工・流通が複雑になり、各自が安心で安全な食事をするためには、これまで以上に視野を広げ、多くの情報を入手して判断することも必要になってくる。
しかし、ダイエットやグルメに代表されるように、面白半分で非科学的な情報も多く、中には相反する内容もいくつかあって混乱する。
こうした中では、食育の理論を誰かに求めるのでなく、各自がいろいろな場における体験を通して、自らに必要な食の知識と技術を会得していくしかないだろう。
そのためには、各地の生協で工夫して取り組んでいる実践も、食育が普及するために大いに意味のあることである。
各地の事例をホームページから拾ってみた。
・ リンゴのケーキとパイ作り(コープあおもり)
1・ まぐろの珍しい料理も(みやぎ生協)
2・ 食育に関わる講座(さいたまコープ)
さいたまコープでは、組合員の豊かなくらしを応援するため多様な講座を組み、
食育については以下のような取り組みがある。
3・ 食のトーク・トーク(コープとうきょう)
コープとうきょうでは、毎年各地で組合員と生産者・メーカーの交流する「食のトーク・トーク」を開催しいている。以下はその一例で、小金井における取り組みである。
4・ 農業を考え交流(東京マイコープ)
5・ ドライパック缶を使った親子クッキング(市民生協にいがた)
6・ 芋切り干し体験(コープしずおか)
7・ 寒天作り見学と寒天料理(コープぎふ)
8・ エコ&フードチャレンジ(コープこうべ)
コープこうべでは、兵庫県内に住む子どもたちを対象にして、「虹っ子エコ&フードチャレンジ」と題するインターネット上の食育・環境学習プログラムを開設している。
このチャレンジでは、子どもたちが家の中や毎日買い物に行く店で、食べ物や環境のことについて、楽しみつつゲーム感覚で考えたり調べたりすることができる。
ここでは両親に対して、食育を次のように解説している。
「コープの食育は、子どもの頃から食への関心を高め、よい食生活習慣を身につけることで健康な身体を育み、食を通じて、自然環境や生産者への思いを広げ、豊かな心を育てるための取り組みです」
・ 輸入農産物の見学(コープえひめ)
9・ 「野菜と果物を食べて健康増進を~5ADAY~」(コープかがわ)
10・ 子ども委員会で商品開発(グリーン・コープ)
グリーン・コープでは、2003年度から子ども委員会を発足させて、子ども主体で3つの商品の開発を進めてきた。具体的には、福岡・北九州委員会の「夢いっぱいゼリー」、熊本委員会の「キッズピザ」、おおいた委員会の「クリーミィー・ソーダアイス」である。
ここでは福岡・北九州委員会の取り組みを紹介する。
11・ コープ親子スクール(コープかごしま)
12・ おわりに
各地の生協における食育関連の創意工夫した取り組みを見てきた。地域の条件を活かし、さまざまな展開となっている。
ところで2003年に日本生活協同組合連合会が、インターネットを活用して実施した「生協とくらしに関するアンケート」調査によれば、回答した12996名のうち、食育についての関心は、「とても」が23%、「やや」が42%あり、両方を合わせると65%の組合員が答えている。なお、このときの食育とは、「主に子どもの食の自立を目指して、親や地域・行政などがさまざまに支援する活動を意味しています」と設問項目に添え書きしている。
こうした組合員の高い関心からすれば、まだ食育についての生協の取り組みは不充分と言わざるをえない。ここで紹介した先進事例などからも学びつつ、全国の生協でこのテーマでより活動を活発化させることが求められている。
