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(財)生協総合研究所 研究員 西村 一郎
・ 声のやり取り
「みなさん、こんにちは。今年もようやく無事に収穫の秋を迎えることができました。昨年はみかんが不作で、皆様には充分食べてもらう事ができず、ご迷惑をおかけしました。
しかし、今年は天候にも恵まれて豊作で、また病害虫の被害も少なくうまいみかんができました。グリーン温州を食べて頂いた方は、味はどうでしたか?うちのみかんがお気に入りになられましたら、ご指名ください。(ネオン街ではないので、指名料はいりませんよ)
我が家は大人4人、子供4人、犬1匹の家族でしたが、春からまた増えました。中3の娘がかわいそうだと言って、2匹も拾ってきました。おまけにメダカの水槽が2つ。うちには一体口がいくつあるんだろうか。父ちゃんがんばって仕事せないけんな。
それでは、いつもの家族紹介をします。
(犬を含めた家族全員の名前、歳、仕事や趣味などのメモは略)
消費者のみなさん。これからも親しいおつきあいをよろしくお願いします。
平成13年10月吉日
(住所、氏名、電話&fax、Eメールアドレスは略)」
みかん箱に入って消費者に届いた生産者の声の1つです。
こうした生産者の手紙に対し、みかんを食べた全国各地の消費者からの便りが村に届いています。
「今年もおいしいみかんをありがとうございました。うちの娘(5才8カ月)も大喜びしています。娘は、食べ物アレルギーと農薬アレルギーで、スーパーのみかんは食べれません。早いうちにスーパーでみかんを売っているのが目につきだすと、『無茶々園のみかん、まだかなあ~。はーやくこないかなあ~』と祈るような目で待っていました!だから『明日から、お弁当の果物は、みかんを持っていくー!!』と、うれしそう。
無農薬で作るには、大変な苦労がおありだと思います。感謝しながら娘とおみかん、いただきたいと思います」
「此の度は、美味しいみかんを送って頂きましてありがとうございました。届いてすぐ夕食前にもかかわらず、5,6個食べてしまいました。
去年は、よく娘とみかんの皮を紅茶に入れて飲んだことを思い出して飲んでみました。おいしかったです。無茶々園のみかんが大好きな娘は、今モントリオールで留学生活を送っていますが、カナダでも無茶々園のような美味しいみかんを食べているといいなと思いながら紅茶を飲みました。無農薬だからできることです。これからも美味しいみかんを送って下さいますよう、よろしくお願いします。かしこ」
こうしてみかんを媒介し、生産する側と消費する側の思いが毎年のように行き来し、生活に潤いを与える一つとなっている。
・ 無茶々園を訪ねて
加入している地域生協経由で、5年ほどまえから私も無茶々園のみかんを毎年のように口にするようになった。はじめて食べて深いコクを味わったときの驚きは、今でも鮮明に覚えている。それまでの普通のみかんが、いったい何であったのかと考えたものだ。そのときから一度は無茶々園を訪ねて、どのような理由でこれだけ美味しいみかんができるのか知りたいと願っていた。
羽田から松山空港へ飛び、まずバスで松山駅に出て、次はJR予讃線に乗り換える。短い車輌の窓の外には、収穫を終えた田畑や、紅葉がすすみ秋の深まっていく山々がすぎさっていく。特急電車で1時間の旅をして卯之(うの)町の小さな駅に降り、出迎えの軽自動車で無茶々園の事務所を目指す。
町並みを過ぎて小さなトンネルを抜けると、見下ろすような急勾配の下に海が広がっている。山の斜面には一面にみかんの木が並び、濃い緑の葉の間に無数のオレンジ色したみかんが輝いている。その間を縫うようにして、いくつものヘアピンカーブを走って降りて行った。
倉庫を兼ねたプレハブ造りの無茶々園の事務所は、山の斜面が海岸に迫ったわずかの平地にあった。隣の研修会館で、まずは(株)地域法人無茶々園の社長をされている宇都宮広さんから話を聞く。
